死線を越えて

 砂の中から出ているのは、蠅男の頸だったのである。悪逆残忍、たとえるに物なき殺人魔・蠅男の首に外《ほか》ならなかった。「お竜《りゅう》、しっかり圧《おさ》えていろ」 蠅男は底力のある低い声で呶鳴《どな》った。 お竜! するといま帆村の頸《くび》を圧《おさ》えつけているのは、蠅男の情婦のお竜だっ...

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一人の女

 帆村は身体をゴソゴソ動かして、その相客と同じように胸のあたりにしきりに砂を掻きよせた。 そのとき一人の女が、室内に入ってきたのを感じた。絣《かすり》の着物を、短く尻はしょりをして、白い湯文字を短くはいていた。 その女はいきなり帆村の方へやってきて、「おいでやす。もっとうまいこと砂をかけてあげ...

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この奥にある砂風呂のこと

 と帆村がいうと、楢平は指をさして、「新別府ちゅうのは、この奥にある砂風呂のことや。そのわりに流行ってえへんけれどなあ。よかったら行ってみなはれ。ええ女子がおって、あんじょう砂をかけてくれるがな」といった。 帆村は妙な気になった。 今夜からいよいよ死闘だと覚悟していたのに、それがこんな風に呑気...

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